連結税務申告書は内国歳入法1501条及び1504条に定められた連結法人グループ(Affiliated group of corporation)によって提出されます。連結法人グループとは、共通の親会社(Common parent)が株式保有によって、次の用件に該当する形態で、1つあるいは複数の連結可能法人(Includible Corporation)を連結したグループ法人群のことです。
1.共通の親会社が少なくとも1法人の80%以上の議決権を保有し、当該法人全株式の80%以上の株式を保有。
2.共通の親会社以外の1つ又は複数の連結法人が他の連結可能法人を上記項目1の形式(80%以上)で保有。
上記項目2によって、子会社が所有する子会社(孫会社)もまた、連結法人グループ内に入るので、事業部単位や地域(部署)単位で複数の連鎖(Chain)を持った1つの連結グループを形成することも可能となります。
親会社と各子会社の単体(Proforma)ベースの申告書は、親子会社間及び連結子会社間の取引(Inter-company Transaction)を含んだ状態、つまり、連結消去仕訳(Consolidation Elimination Entries)前のベースで作成されます。また、単体ベースの申告書には、各法人の税務上の加減算が反映されているため、財務諸表上の税引前利益とは異なった課税所得が計上されているので注意を要します。連結税務申告書は、親会社単体と各子会社単体を合算して作成されますが、そのままの状態では、前述の親子会社間及び連結子会社間の取引(税務上加減算項目を含む)が含まれていますので、連結財務諸表で行うのと同様に連結消去仕訳で当該会社間取引を消去します。
財務諸表上と税務上の連結グループ法人数は異なる場合もあります。例えば、80%以上の株式持分を保有していても、当該法人が外国法人である場合は、税務上は連結できません。また、持分法(Equity Method)で保有している子会社で、財務諸表上は連結されている法人でも、その持分割合によっては、税務上の連結可能要因とならない場合もあります。さらに、パートナーシップや有限会社(Limited Liability Company)等で財務諸表上、連結されている企業で税務上の持分割合を満たしている場合でも、税務上は申告が必要な事業体とならないため、税務上の連結対象からは除外されます。税務上の連結消去仕訳を入れる際には、税務上の連結法人グループ間のみの連結消去仕訳となるように注意します。
連結税務申告書の開示情報として、次の項目を準備します。
1.子会社の監査後(検証後)財務諸表、試算表及び繰越利益金科目活動
2.連結会社情報-様式851及び様式1122
3.連結概略
4.税務上連結消去仕訳
5.連結法人税分担同意
項目3は、連結各法人の科目残高を集計して示したワークペーパーで、項目4の仕訳詳細と共に、申告書作成システムまたはソフトウェアーにデータ入力する際に重要となります。 項目5の連結法人税分担合意書(Consolidation Corporation Tax Allocation (Sharing) Agreement)は、分担のルールに関して、あらかじめ取り決めた合意文書で、連結法人間で役員の署名をもって取り交わします。
合意書には、一般的には、次の前提や内容が盛り込まれます。
1.合意書に連名する連結法人名とその関係
2.合意書に使用される言葉の内容説明
3.各子会社が単体(Proforma)ベースの納税額を個別に計算する旨
4.予定納税も含めた当期納税の時期と支払金額の設定方法
5.連結法人の一法人又は複数の法人が税務上損失を計上した場合の返却の時期と金額
6.繰延税金の連結法人間での支払いと移動を禁じる旨 の合意
連結税務申告書に関するワークペーパー見本と詳細解説に関しては、「アメリカ法人税実務マニュアル(米国法人税申告書の書き方)」をご参照ください。